平成17年度
登別市教育行政執行方針


平成十七年第一回登別市議会定例会にあたり教育委員会所管の行政執行に関する基本方針を申し上げます。

初めに学校教育についてであります。 
学校教育の推進にあたりましては、まず、何よりも「安心安全な教育環境の確立」が基本であります。頻発する学校への不審者侵入、子どもを狙った犯罪の増加など憂慮すべき事態が続いております。
教育委員会といたしましては、緊張感を持って全小中学校とともに、学校の安全管理に万全を期してまいります。

本年一月に策定いたしました「学校の安全管理に関する指針」を基に、今一度、各学校における危機管理体制の検証とマニュアルの見直し、新たな事態に対処出来うるマニュアルの作成を求めるなど、より実践的で効果的な安全対策の構築を進めてまいります。
また、不審者・変質者対策につきましては、学校はもとより、PTAや町内会、関係機関の連携のもと、「子どもたちは地域ぐるみで守る」ことを基本に、常に警戒の手を緩めることなく対応するとともに、「子ども110番スタディちゃんの家」の増設など、子どもの安全確保に努めてまいります。

「確かな学力」の定着についてでありますが、
児童生徒の学ぶ意欲を重視し、知識・技能に加え、思考力・判断力・表現力など「確かな学力」を定着させることが求められております。
 昨年度より取り組んでいる小中学校における「標準学力テスト」を引き続き支援し、その結果や日常の評価が、授業の創意工夫や教育課程の改善に生かされるよう図るとともに、校長会や教頭会と連携し、各学校における学力向上に向けた先進的研究を支援してまいります。

教育の充実のためには、子どもたちの指導に直接関わる教職員の資質や能力、専門性の向上が極めて重要であります。
引き続き、校内研修の充実や北海道教育委員会主催の研修講座等への派遣を奨励するとともに、実践研究指定校の成果の普及など、教職員の資質・能力の向上を図ってまいります。

「開かれた学校づくり」の推進につきましては、学校が自らの説明責任を果たし、保護者、地域との連携協力を深めるための不可欠な取組であります。
校長のリーダーシップのもと、外部評価や学校評議員制度を活用しながら信頼に応えられる学校運営が組織的・機動的になされるよう支援するとともに、引き続き学校公開「ふれあいDAY」を実施いたします。

核家族化や少子化の進行、家庭におけるライフスタイルの多様化などを背景に、子どもたちの「健康や体力」を取り巻く状況も変化しております。
学校教育の場における健康づくりの推進が課題であります。
各学校が適切に学校保健計画を定め、基本的な生活習慣の育成や薬物乱用防止教育などの健康教育が推進されるよう支援してまいります。
また、現在検討している「歯の健康づくり」の推進につきましては、学校、保護者の理解を得た上で実施したいと考えております。
さらに、子どもたちの健康の基本である「食」の重要性が指摘されております。これまでの各学校における「食に関する指導」とともに、学校給食センターと連携し学校給食の場を活用しながら一層の充実を図ってまいります。

特別支援教育につきましては、特殊教育からの転換を基本に、現在、中教審で制度の在り方について検討が進められております。
教育委員会といたしましても、制度改革の動向を注視するとともに、教職員を対象とした研修会の開催や、各学校での特別支援教育推進体制づくりに向けた取組を支援してまいります。
また、小中学校の特殊学級における技術補助員(特殊学級介助員)につきましては、引き続き適正配置に努めてまいります。

いじめ、不登校への対応につきましては、引き続き、「スクールカウンセラー」、「心の教室相談員」を配置するとともに「いじめ不登校等対策会議」の場を活用するなど、きめ細やかな対応を進めてまいります。また、児童生徒の問題行動に適切に対応するため「生徒指導担当者会議」や関係機関の連携による「大型店等万引き防止連絡会議」等の充実に努めてまいります。

学校図書館につきましては、これまでのデータベース化基盤整備を基に、先ごろ独自で開発いたしました学校間の相互検索システムを活用し、学校間の図書検索や貸し借り、新規購入図書データ整理の簡素化などに取り組むとともに、図書活動をサポートする図書ボランティアの育成も進めながら、学校図書館の利用拡大に努めてまいります。

登別温泉小学校と登別小学校の校区一体化につきましては、PTAなどから構成される「校区拡大検討会議」の意見をいただきながら、様々な課題の調査・研究や児童間の交流などを検討するとともに、その時期についても両校の保護者の皆さんと十分協議してまいります。

次に「生涯学習の推進」についてであります。
生涯学習の普及・啓発につきましては、市民の学ぶ意欲の醸成に努めながら、「ときめき大学」「婦人短期大学」「マイプラン講座」などの学習内容の充実を期すとともに、今日的な学習課題に対応できる学習機会の拡大に努めてまいります。

青少年の健全育成についてでありますが、引き続き学校・家庭・地域の連携のもと、「子ども地域交流プラザ」や「子ども会活動」の充実を図ってまいります。
また、次代を担う中高生の社会参加やコミュニケーションを促進するため、中高生の居場所づくりが課題となっておりますので、中高生の参加を得ながら今後の活動プログラムづくりを進めてまいります。

次に、文化・スポーツの振興についてであります。
 これまで豊かな地域社会の創出をテーマに、文化・スポーツ関係団体並びに市民の皆さんの参画をいただいて策定を進めてまいりました「文化振興基本計画」及び「スポーツ振興基本計画」が、このほど成案を得ますので、平成十七年度からはこの計画の示す方向に沿って、具体的な施策の推進に努めてまいります。 
文化財・郷土資料の収集・保存・研究につきましては、本年四月から配置予定の学芸員を中心に、郷土資料館学芸ボランティアや市内の郷土史研究者と連携した取組を進めてまいります。 

市民プールは、開館以来、多くの市民の皆さんにご利用いただいており、市民の健康づくりの拠点施設として順調に活用が図られております。
今後も、市民の皆さんからご意見をいただきながら、健康増進を図るための各種水中運動教室や水泳教室など、多彩なプログラムを提供し、市民の皆さんに喜ばれる施設となるよう運営管理に万全を期してまいります。
また、鷲別地区、登別地区、温泉地区からの市民プール利用者増を図るため道南バスと提携し、バス料金にプール使用料を組み込んだバスパック事業を実施いたします。
 ネイチャーセンターふぉれすと鉱山は、市民支援ボランティア組織やNPO法人との連携により、人と自然のふれあい拠点として充実に努めてまいりました。市民の皆さんに一層活用していただけるよう、体験学習の新たなプログラムづくりを進めるとともに、今年度は、より効果的・効率的な運営管理についての具体的な検討を進めてまいります。

教育施設整備につきましては、本年度、幌別西小学校校舎の屋根・外壁改修、緑陽中学校などの水洗化を実施するとともに、鷲別中学校の暖房設備の整備をいたします。また、老朽化が著しい登別市青少年会館につきましては、床と窓枠の改修を行うことといたします。

最後に、北海道立中等教育学校についてでありますが、現在、平成十九年四月開校に向け建設工事が順調に進められております。
市としても、通学路整備など、開校へ向けた環境整備を進めるとともに、「中等教育学校を支援する市民会議」を中心に、市民各層のご意見ご要望をいただきながら、支援についての検討を進めてまいります。

以上、平成十七年度の教育行政執行に関する方針について申し上げました。教育委員会といたしましては、急速に変化する社会の動向を的確に捉えながら、全力をあげて諸般の施策を推進してまいりますので、市民の皆さん並びに市議会議員の皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げます。