平成18年度
登別市教育行政執行方針

平成18年第1回登別市議会定例会にあたり教育委員会所管の行政執行に関する基本方針を申し上げます。

我が国の教育は、昨年10月、中央教育審議会からの答申「新しい時代の義務教育を創造する」の中で、今後の義務教育については地方自治体や学校の権限と責任を拡大する分権改革を進め、地域の主体性と創意工夫によって教育の質の向上を図り、子どもたちが安心して健やかに育つことができる教育を推進することが提言されました。

このため、地域においては、実情を踏まえ、地域にふさわしい教育の在り方や、教育の地方分権に関わる具体的な施策等について、住民の意志を反映しながら、適切な教育行政を推進することが求められております。

教育委員会としては、豊かな個性と人間性を育み、市民一人ひとりが地域社会の形成に自主的・主体的にかかわる生涯学習社会の実現を目指し、学校・家庭・地域・関係機関との連携を一層深めながら、ふるさと登別の文化の創造や地域に根ざした教育の推進に努めてまいります。

以下、平成18年度の重点項目について申し上げます。

はじめに「地域に根ざした信頼される学校づくり」についてであります。

学校は、家庭や地域と連携協力し、地域に開かれ信頼される学校づくりを推進しなければなりません。このためには校長がリーダーシップを十分に発揮するとともに、学校評議員制度や学校評価等を積極的に活用し、学校運営が組織的・機能的に進められることが重要であります。教育委員会としては、今後、一層各学校の主体的な取組を支援してまいります。

昨今、全国的に児童生徒を巻き込んだ残虐な事件が連続して発生し、不審者が頻繁に出没するなど憂慮すべき状況が続いております。本市においては、これまで学校を中心に、家庭・地域が一体となって通学路における危険箇所の点検やパトロール活動に取り組み、大きな効果を発揮しております。積極的に御協力いただいた保護者・地域の皆様に心より感謝申し上げます。

今後とも、「学校の安全管理に関する指針」を基に、マニュアルの見直しなど、より実践的で効果的な安全対策が図られるよう取り組んでまいります。

教育の質の向上を図るためには、教員の資質能力を高めることが極めて重要であります。

市内の各学校においては、これまでも研修活動が充実するよう、積極的に研究指定を受け、公開研究会を開催するなど大きな成果を収めてきました。

昨年度は、富岸小学校が『北海道教育実践表彰』、幌別東小学校が『胆振管内教育実践表彰』、また、幌別小学校は全国的に権威のある『博報賞』〈国語・日本語教育部門〉を受賞いたしました。この3校の受賞は大変意義のあることと考えております。

今後も、学校の教育力を高める教員の指導力や資質の向上を目指し、各種の研修活動を積極的に支援してまいります。

登別温泉小学校と登別小学校の校区一体化については、平成19年4月に向け、学校間交流や保護者、地域の交流を通して相互理解が深まるよう支援するとともに、学校区拡大検討会議との協議を進めながら円滑に校区一体化が図られるよう努めてまいります。

 次に「生きる力を育む教育」についてであります。

 確かな学力の向上については、子どもたちに基礎的・基本的な知識、技能を身に付けさせるとともに、学ぶ楽しさや好奇心を育むことが重要であります。

このため、授業の充実はもとより、標準学力テスト等の資料を活用した指導方法の工夫改善、「総合的な学習の時間」の充実、「体験的な学習」や「問題解決的な学習」を充実させるなど、各学校の特色ある取組を支援してまいります。

また、教育用コンピュータを活用した授業については、子どもたちの情報活用能力を育成し、意欲・関心を高める指導を充実させるため、教育情報センターを中心に登別市情報教育推進協議会と連携しながら取り組んでまいります。

 豊かな心の育成については、他人を思いやる心や自律心、規範意識などを育むことが大切です。このため、社会体験活動などを積極的に取り入れた特色ある教育活動を推進し、道徳教育の充実が図られるよう支援してまいります。

また、豊かな感性や情操を育む上で大きな役割を担っている読書活動については、学校間の図書検索システムの活用や市立図書館との連携を促し、一層の充実が図られるよう働きかけてまいります。

たくましく生きるための健康や体力づくりについては、子どもたちが自ら健康を考え、自らの健康を守る態度を養うことが大切です。各学校が家庭・地域と連携して取り組む薬物乱用防止教育や性に関する指導、歯や口の健康づくりとしての「フッ化物洗口」、給食センターと連携した「食に関する指導」等の推進を支援してまいります。

 いじめ・不登校の対応については、校内における事例研修や各種対策会議の充実を図るとともに「スクールカウンセラー」や「心の教室相談員」の配置を継続するなど、早期発見、早期解決を目指した教育相談の充実に努めてまいります。

障害のある児童生徒の教育については、平成19年度より一人ひとりのニーズに応じた適切な指導・支援を行う特別支援教育へ移行されますので、本年度は、校内委員会の設置やコーディネーターの指名、関係機関との連携など、学校の取り組みを支援し、万全を期してまいります。

次に「社会教育」についてであります。

本年3月に人づくりや生涯学習の振興をねらいとした「第3次社会教育中期計画」が成案を得ますので、この中期計画の基本目標に沿った各種施策の展開に努めてまいります。

青少年の健全育成については、高度情報化などの進展により、子どもたちを取り巻く状況が著しく変容する中で、心と体の健全な発達を促すことが大切です。このため、引き続き子ども地域交流プラザや子ども会活動を支援し、のびのびと健やかに育つ環境づくりに努めてまいります。

また、子どもを守る取組として、青少年補導センターでは、街頭指導や巡回指導の強化を図るとともに、「子ども110番スタディちゃんの家」を増設するほか、ホームページを活用した不審者情報の提供など、学校・家庭・地域との連携を一層強めた青少年の健全育成に努めてまいります。

図書館については、建築後30年以上経過し、施設の老朽化や狭隘などによる機能劣化、更には、高齢者や障害のある方々の利便性に課題を抱えておりますので、利用者の意見を伺いながら、課題解決の方策について検討してまいります。

文化・スポーツの振興については、市民が潤いと生きがいに満ちた生活を送るため、文化芸術活動に積極的に参加し、豊かな感性や創造性を培うとともに、スポーツ・レクリエーション活動を通して、体力の向上と健康の保持・増進を図ることが大切です。

このため、登別市文化・スポーツ振興財団をはじめ文化協会や体育協会などと協働で、市民に親しまれる事業の推進に努めてまいります。

旧登別温泉中学校の跡利用については、市内で発掘された埋蔵文化財の展示・保管、体験学習の場、更には、市民のサークル活動や作品の展示場などに活用できる複合的な機能をもった文化交流施設として整備してまいります。

また、教職員の研修・研究の場としても活用されるよう図ってまいります。

ネイチャーセンターふぉれすと鉱山については、NPO法人や市民ボランティアの皆さんとの協働により、各種の自然体験活動事業を展開してまいりました。今後も、より一層市民の皆さんに活用していただけるよう、新たな事業の掘り起こしを進めるとともに、管理運営の在り方についても検討してまいります。

教育施設整備については、本年度、青葉小学校グランドのフェンス設置と登別小学校及び鷲別中学校の暖房設備の整備をいたします。また、市民会館については、屋上防水改修等を行うことといたします。

北海道登別明日(あけび)中等教育学校については、平成19年4月開校に向け、建設工事が順

調に進められております。教育委員会としては、本年4月市内に設置が予定されている開校準備室との連携を深めるとともに、通学路整備など開校へ向けた環境整備を進めてまいります。

以上、平成18年度の教育行政執行に関する主な方針について申し上げました。教育

委員会としては、「変革と混迷」の時代を迎え、人材の育成こそが最も重要な課題であるとの認識に立ち、市長部局との連携を深め、諸施策を推進してまいります。

市民の皆さん並びに市議会議員の皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げます。