平成19年度
登別市教育行政執行方針

 平成19年第1回登別市議会定例会にあたり教育委員会所管の行政執行に関する基本方針を申し上げます。

 我が国の教育については、昨年12月、教育基本法が約60年ぶりに改正され、現在、教育振興基本計画の策定をはじめ、学校教育法等の関係法令の改正など、具体的な取組が進められております。また、政府の「教育再生会議」においては、ゆとり教育の見直しによる学力の向上や規範意識の育成等を柱とする第一次報告が示されるなど、大きな転換期を迎えております。

 このような情勢の中、教育委員会としては、新たな課題に対応し、登別にふさわしい特色ある教育を推進していくため、本市における教育の指針である「登別の教育」の見直しを進めるとともに、学校・家庭・地域・関係機関との連携を一層深めながら、市民一人ひとりが自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができる生涯学習社会の実現に努めてまいります。

 また、子どもたちを取り巻く状況に目を向けますと、昨年、全国で続発した「いじめ問題」や後を絶たない「不審者」の出没など、命に関わる深刻な問題が発生しております。今後とも、児童生徒の安全・安心な環境が確保されるよう、学校・家庭・地域が一体となり、未然防止や早期発見・早期対応等の効果的な取組に努めてまいります。

 以下、平成19年度の重点項目について申し上げます。

 はじめに学校教育についてであります。

 学校は、自らが説明責任を果たし、地域に信頼される開かれた学校づくりを推進することが重要であります。そのためには、校長がリーダーシップを十分発揮し、学校評議員や学校評価等を積極的に活用し地域とのかかわりを深め、学校運営が組織的・機動的に推進できるよう支援してまいります。

 教員の資質能力の向上については、教育の専門家としての確かな指導力や豊かな人間性などを高めるため、文部科学省等の研究指定をはじめ、北海道教育委員会や教育研究所等が実施する研修講座への派遣を促すとともに、登別市教育研究会や各学校での研修・研究を支援してまいります。

 確かな学力の向上については、標準学力テストや「全国学力・学習状況調査」等の分析結果を活用し、指導方法の工夫改善を進め、基礎的な知識・技能はもとより、自ら学び・自ら考え・行動する力の育成に努めてまいります。

 豊かな心の育成については、自然体験・社会体験活動等の特色ある教育活動や読書活動の推進、道徳教育の充実を図り、他人を思いやる心や自律心、規範意識等の醸成に努めてまいります。

 たくましく生きるための健康や体力づくりについては、薬物乱用防止教育、性に関する指導、歯や口の健康づくりなどの取組を支援するほか、「食育」を推進するため、栄養教諭の配置を要望してまいります。

 子どもたちの安全・安心の確保については、各学校の危機管理マニュアルや安全マップの見直しを図り、安全指導の充実に努めるとともに、青少年補導センターの巡回指導の強化、子どもの緊急避難場所「子ども110番スタディちゃんの家」の増設、通学路の安全パトロール活動の充実など、学校・家庭・地域・関係機関が一体となった取組を一層推進してまいります。

 いじめ、不登校への対応については、「スクールカウンセラー」、「心の教室相談員」等の教育相談活動を積極的に進めるとともに、「いじめ・不登校等対策会議」を充実させ、きめ細かな対応に努めてまいります。

 また、各学校の生徒指導に関する事例研修会や「登別市生徒指導担当者連絡会議」等を通じて、児童生徒の問題行動への適切な対応に努めてまいります。

 情報教育については、登別市情報教育推進協議会と連携し、情報モラルやマナー等の指導の充実を図るとともに、授業での教育用コンピュータの活用を促進し、情報活用能力の育成に努めてまいります。

 本年4月より校区拡大が図られる「登別小学校」については、通学の安全確保、放課後の居場所づくり、特色ある教育活動の継承等を支援し、今後とも地域に愛される学校づくりに努めてまいります。

 特別支援教育については、個別の指導計画等を基に、LD・ADHD・高機能自閉症等の障がいのある児童生徒への適切な指導を進めるとともに、今後もコーディネーターや校内委員会を中心に、教育相談や関係機関との連携が一層充実するよう努めてまいります。

 教育施設整備については、老朽化した登別中学校の暖房設備の更新と公共下水道の一部供用開始よる登別小学校の水洗化を 進めてまいります。

 次に、社会教育についてであります。

 社会教育は、市民がより充実した生きがいを求め主体的に学ぶ学習活動を通して、自己啓発に努めるための基盤となるものであります。

 昨年、「人づくり」を基本として生涯学習の振興を目的に策定した「第3次社会教育中期計画」に基づき、生涯の各時期に求められる学習活動や世代間交流、ボランティア活動などの事業の推進を図ってまいります。  

 また、家庭教育は、全ての教育の出発点であり、子どもたちが基本的な生活習慣や社会的なマナー、自制心や自立心などを育む場であることから、家庭教育力向上のための情報提供に努めるとともに、PTAや関係機関と連携しながら親同士の交流や子育てに関する学習など、家庭教育学級の充実に努めてまいります。

 青少年の健全育成については、子どもたちが自ら課題を見つけ、学び考える資質や能力、正義感や倫理観などをもった豊かな人間性を育むことが大切でありますので、子ども会育成連絡協議会や子ども地域交流プラザなどと連携し、自然体験活動や社会体験活動などの取り組みを進めてまいります。

 また、青少年の問題行動は、ますます凶悪化・低年齢化の傾向にあり、青少年を巻き込む事件が後を絶たないなど、極めて憂慮すべき状況にあります。

 これまでも青少年補導センターを中心に地域の方々の協力の下、「街頭指導の強化」や「環境の浄化」などに努めてまいりましたが、今後とも、青少年問題協議会等の関係機関や家庭・学校・地域との連携を密にし、青少年の非行や犯罪の未然防止に努めてまいります。

 総合的な放課後児童対策として、国は、本年度より放課後に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進するため、小学校の空き教室を利用した「放課後子どもプラン」を創設することとしております。

 教育委員会としては、今後、国等の動向を注視し、鷲別小学校における事業の実施を検討してまいります。

 図書館については、生涯学習の情報拠点として、資料等の充実を図り、市民ニーズに応える図書館運営に努めてまいります。

 また、施設については、建築後30年以上経過する中、バリアフリー化が遅れ高齢者や障がいのある方々の利便性に欠ける状況にありますので、その解消に向け、引き続き検討してまいります。

 文化・スポーツの振興については、市民が心身ともに健康で潤いのある生活を送るためには文化芸術活動を通して、自己の感性や創造力を磨き、人間性を豊かにするとともに、スポーツ活動を通して、楽しさや感動を体験し、心身の健康と活力を継続していくことが大切であります。

 このため、登別市文化・スポーツ振興財団や文化協会、体育協会などと連携し、市民の文化活動への参加促進や優れた芸術文化の鑑賞機会を提供し、文化の振興を図るとともに、各種スポーツ教室やレクリェーション活動の充実、体育指導委員による指導者派遣事業を実施してまいります。

 本年6月にオープンする「のぼりべつ文化交流館」については、市内で発掘された埋蔵文化財の展示・保管、体験学習の場、更には、市民のサークル活動や作品展示場、研修室や談話室など、複合的施設として活用してまいります。

 ネイチャーセンターふぉれすと鉱山については、本年4月より、「NPO法人登別自然活動支援組織モモンガくらぶ」が指定管理者として受託しましたので、引き続き市民の自然体験学習の場として利用促進が図られるよう支援してまいります。

 本年、4月開校の「北海道登別 明日 ( あけび ) 中等教育学校」については、国際理解教育、外国語教育、地域の特性を生かした学習活動の推進などを重視することとされておりますので、地域の資源を活用した教育活動が効果的に進められるよう支援してまいります。

 以上、平成19年度の教育行政執行に関する主要な方針について申し上げました。教育委員会としては、変革期の今こそ、教育の意義を問い直し「人づくり」を基本に据えながら、市長部局との連携を深め、諸施策を推進してまいります。

 市民の皆さん並びに市議会議員の皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げます。