平成21年度
登別市教育行政執行方針

 平成21年第1回登別市議会定例会にあたり教育委員会所管の行政執行に関する基本方針を申し上げます。

 近年、教育をめぐっては、少子高齢化社会の進行や高度情報化、国際化の進展など社会情勢の急速な変化にともない、家庭・地域の教育力や規範意識、倫理観の低下をはじめ、子どもの学ぶ意欲や学力・体力の問題など、多くの面で課題が指摘されております。

 このような中、昨年7月、国は改正教育基本法の理念を実現すべく「教育振興基本計画」を策定し、今後10年間の教育の振興に関する施策推進の基本的方向を示しました。
 これからの教育においては、予想されるグローバル化や知識基盤社会の進展に対応し、個性を尊重し一人ひとりの能力を伸ばすとともに、社会の一員として、相互に支え合いながら生きる基盤を育成することを主眼に、活力に満ちた創意ある教育を展開することが重要であります。

 教育委員会としては、こうした動向をしっかりと受け止め、学校・家庭・地域・関係機関が、それぞれの役割と責任を明確にし、相互の連携・協力を図りながら、市民一人ひとりが主体的な学習活動を通して自己を高め、その成果を生かすことのできる生涯学習社会の実現を目指してまいります。

 以下、平成21年度の重点項目について申し上げます。

 はじめに、学校教育についてでありますが、
 本市の学校教育の推進指針となる『学校教育基本計画』の策定が、本年3月に終了いたしますので、今後は、この計画に基づき、各種施策を総合的かつ計画的に実施してまいります。

 本年度より移行措置に入る「新学習指導要領」の対応については、確かな学力の定着や道徳教育の充実など、改訂の主旨が教育課程に適切に反映されるよう促してまいります。
 また、小学校における外国語活動については、全ての学校で取り組むこととしましたので、指導資料の提供や英語指導助手の配置などの支援を進めてまいります。

 「開かれた学校づくり」については、学校評議員制度や学校評価、さらには、一斉公開日「ふれあいDAY」などを活用し、学校・家庭・地域が一体となった取組が推進されるよう促してまいります。
 また、小中学校の連携については、「授業交流」や中学校教諭による「出前授業」などの取組を積極的に支援してまいります。

 「学力向上対策」については、「登別市学力向上プラン」に基づき、各学校の実践を交流するなど、年度ごとの取組の検証改善を進めてまいります。
 また、基本的な生活習慣の形成と、学力・体力の向上との関連が指摘されておりますので、家庭・地域と連携し、学習や運動・生活習慣の確立など、児童生徒にとって好ましい環境づくりを進めてまいります。

 「教職員の資質能力の向上」については、教職員自らがその使命と責任を自覚し、専門性や指導力を高めることができるよう、引き続き、研究指定や公開研究会の開催など、研修活動を支援してまいります。

 「豊かな人間性を育む教育」については、他人を思いやる心や自律心、規範意識の醸成を図るため、登別の豊かな自然や環境、地域の人材を活用した体験活動の充実など、教育活動全体を通した道徳教育の推進を図ってまいります。

 「学校図書館」については、図書の充実や市立図書館との連携に努めるとともに、学校図書館ボランティアの拡充を図り、読書活動が一層推進されるよう努めてまいります。

 「健康や体力づくり」については、規則正しい生活習慣を育む「早寝・早起き・朝ごはん運動」の啓発活動や、望ましい食習慣の形成を図る「食育」の充実に努めるとともに、歯や口の健康づくり、薬物乱用防止教育や性教育などの教育活動を促進してまいります。

 「特別支援教育」については、介助員や学習支援補助員の適切な配置を行うとともに、学校が作成する「個別の指導計画」や「教育支援計画」に基づいた指導や支援が充実するよう促してまいります。

 「情報教育」については、コンピュータ等の情報機器の積極的な活用を促進するため、教育用コンテンツの研究などを奨励するとともに、児童・生徒が、携帯電話やインターネットによる被害に巻き込まれることのないよう、家庭や関係機関と連携し、モラルやマナーの向上にむけた指導の充実を図ってまいります。

 「不登校やいじめ、問題行動等」については、その要因や実態がますます複雑化・多様化していることから、スクールカウンセラーや心の教室相談員、教育指導専門員等を活用した教育相談や、学校・家庭・地域・関係機関が一層連携した生徒指導の充実に努めてまいります。

 次に、社会教育についてでありますが、
 「第三次社会教育中期計画」に基づき「人づくり」を基本として、それぞれのライフステージに応じた学習活動や世代間交流、ボランティア活動などの事業を推進してまいります。
 家庭は、基本的な生活習慣や感性、社会的なマナーなどの基礎を育む場でありますので、PTAや関係機関と連携しながら、研修会や学習会などを開催し、家庭の教育力の向上に努めてまいります。

 また、昨年度、地域全体で学校を支え、子どもたちを健やかに育むことを目指す「学校支援地域本部事業」が創設されましたので、本市では、西陵中学校区をモデル地区とし、体制づくりを進めてまいりました。
 本年度は、コーディネーターの養成や学校支援ボランティアの確保、支援活動の検討など、具体的な取組を進めてまいります。

 「青少年の健全育成」については、青少年補導センターを中心に、家庭・学校・地域、さらには青少年問題協議会や子ども会育成連絡協議会等と連携し、「街頭指導の強化」や「環境の浄化」などに努めるとともに、豊かな人間性を育む社会奉仕体験活動、自然体験活動など、各種事業の充実を図ってまいります。

 また、近年は、核家族化の進行や子どもたちの生活体験の不足などにより、コミュニケーション能力や協調性、規範意識などの低下が指摘されております。
 このため、異年齢による集団宿泊体験を通して、基本的な生活習慣の形成や自立と協力の心を育む、通学合宿事業『みんなで学ぶ「子ども村」』をネイチャーセンター「ふぉれすと鉱山」で実施します。

 「文化・スポーツの振興」については、登別市文化・スポーツ振興財団や文化協会、体育協会などと連携し、地域に根ざした文化芸術活動やスポーツ活動を展開してまいります。
 また、市内には、各種競技スポーツの後援会が組織されておりますので、競技スポーツの振興と地域の活性化を目指し、温泉や医療施設を活用したスポーツ合宿等の誘致ができるよう、関係機関や団体との協議を進めてまいります。

 また、本年は、登別出身の言語学者「知里真志保」生誕百年の記念の年を迎えますので、登別の歴史とアイヌ文化への理解を深める機会ととらえ、北海道ウタリ協会登別支部とともに、記念フォーラムや資料等の巡回展を開催してまいります。

 学校給食については、栄養基準を満たした、安全で安心な給食の提供に努めておりますが、昨年に引き続き、賄い材料の価格上昇が続いており、本年度も給食費を改定することといたしました。御理解をお願いいたします。

 図書館については、生涯学習の情報拠点として、図書資料等の整備充実を図るとともに、市民団体や図書館ボランティアと連携し、図書館活動の充実に努めてまいります。

 教育施設の整備については、市民会館の外壁等補修・塗装及び大ホール調光機器の更新、給食センター食器洗浄機の取替え、市立図書館児童スペースの拡充を図ってまいります。
 また、富岸小学校屋体の改修、幌別東小学校ほか4校のトイレの洋式化、西陵中学校グランドフェンスの改修工事を行うとともに、学校の耐震化については、本年度より優先順位に応じて耐震診断を実施してまいります。

 以上、平成21年度の教育行政に関する主要な方針について申し上げました。

 社会が急速に変化する中、地域の特性を生かした「まちづくり」を推進するためには、教育の果たす役割は、ますます重要となってきております。
 教育委員会としては、次代を担う子どもたちの健やかな成長と市民一人ひとりが豊かな心と創造性をはぐくむ「人づくり」を目指し、市長部局との連携を深め、教育の振興に全力をあげて取り組んでまいります。

 市民の皆さん、並びに市議会議員の皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げます。