平成22年2月

登別市教育行政執行方針

 

 

平成22年第1回登別市議会定例会にあたり教育委員会所管の行政執行に関する基本方針を申し上げます。

 

  我が国の教育を巡る情勢は、新しい時代に対応すべく改正された教育基本法に基づき、いわゆる教育改革関連三法の改正を経て、具体的な改革の取り組みが、急速に進められている状況にあります。

 また、昨年9月新たに誕生した内閣のもと、平成22年度の政府予算案の編成においては、これまでの事務事業が見直される一方、「人と知恵」の育成に取り組む施策の重点化が図られるなど大きな変革の時期を迎えております。

 

 こうした状況の中、本市の教育の推進にあたっては、新たな教育理念を踏まえつつ、学校教育基本計画の重点目標である「希望と高い志を持ち、未来に向かって、心豊かにたくましく生きる人間の育成」をめざして、学校・家庭・地域と行政が連携・協力し、地域総ぐるみで、子どもたちを守り育てる教育に取り組んでまいります。

 また、社会教育では、人材の育成はふるさと登別の未来を豊かにする礎となるとの認識に立ち、市民だれもが生涯にわたって、生き生きと学び、その成果を生かすことのできる活力ある生涯学習社会の実現をめざしてまいります。

 

以下、平成22年度の重点項目について申し上げます。

 

 はじめに、学校教育の充実についてであります。

 学校教育においては、子どもたちが、夢や希望に向かってたくましく未来を切り拓いていく「生きる力」の育成が極めて重要であります。このため、教育委員会としては、学校・家庭・地域と連携し、それぞれがもつ機能を十分に活かしながら「心豊かな人間性を育む」知・徳・体の調和のとれた教育を推進してまいります。

 

信頼される学校づくりについては、学校の教育目標や経営方針、児童生徒の様子や課題など様々な情報を学校一斉公開日の開催や各種通信、ホームページの利用によって、家庭・地域に発信するとともに、学校評価制度の充実による教育活動の改善を促してまいります。

 

 学力向上対策については、基礎・基本の確実な定着と、自ら学ぶ意欲を高めるため、各学校における少人数指導や習熟度別指導など個に応じたきめ細かな指導方法の工夫・改善の取り組みを支援してまいります。

 

また、課題となっている学習習慣の定着については、学校・家庭との連携が大切でありますので、各種資料などの提供に努め、相互連携・協力が図られるよう支援してまいります。

 

新学習指導要領の対応については、移行措置期間中であることを踏まえ、改訂の主旨が教育課程に適切に反映されるよう、各学校の取り組みを支援してまいります。

 

教職員の資質能力の向上については、教育の専門家として力量を高め、保護者、地域の信頼を得ることが重要でありますので、引き続き各種研修会への参加や実践力を高める研究指定の取り組みを支援してまいります。

 

 情報教育の推進については、児童生徒が、情報モラルを身に付け、コンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用できるよう各学校の取り組みを支援してまいります。

 また、新たなIT授業を可能にするデジタルテレビを各学校に配置しましたので、その効果的な活用を促進してまいります。

 

 学校図書館については、朝読書の推進や市立図書館との連携により、児童生徒の読書意欲が高まってきておりますので、学校図書の充実とともに、図書ボランティアの拡充を図り、読書活動の一層の推進に努めてまいります。

 

 特別支援教育については、児童生徒一人一人の教育的なニーズを把握しながら介助員や学習支援補助員の増員に努めるとともに、適切な教育的支援が行われるよう各学校の取り組みを支援してまいります。

 

 豊かな心や健康・体力を育む教育については、生命を大切にする心や思いやりの心、規範意識などを醸成するため、新しく設置された道徳教育推進教師を中心にした「道徳の時間」の充実・職場体験やボランティア体験など豊かな体験活動の取り組みを支援してまいります。

 また、北国の特色を生かしたスキー学習など、体力づくりの取り組みを促すとともに、栄養教諭を活用した食育の指導や規則正しい生活習慣を身につける「早寝、早起き、朝ごはん」運動の啓発に努めてまいります。

 

 不登校・いじめの対応については、スクールカウンセラーや心の教室相談員を活用して、児童生徒・保護者の心のケアに努めるとともに、「不登校・いじめ等対策会議」を通して行動連携を図るなど関係機関とのネットワークの強化に努めてまいります。

 

 また、昨年度より、不登校の児童生徒に対する学習や学校復帰を支援する場として「スタディ広場」を市民会館内に開設してきましたが、一定の成果がみられましたので、今年度は、登別退職校長会や教員経験者・カウンセリング経験者の方々のご協力をいただき、「適応指導教室」と位置づけ、より、その機能が充実するように取り組んでまいります。

 

 学校給食については、衛生管理の確保を図り、安全で安心なおいしい給食の提供に努めるとともに、地場産の食材を使用した献立や姉妹都市交流事業の一環として、白石米を使った米飯給食など登別らしい給食の提供に努めてまいります。

 

 次に、社会教育についてでありますが、

これからの社会教育においては、「自分でできることは自分でやり、みんなでできることはみんなでやろうとする」新しい公共の理念を踏まえたまちづくりの担い手を育成することが必要であります。

このため、市民が、登別について学習を重ね、その成果を地域づくりに生かす「ふるさと学習」など、新しい視点に立った学習活動をはじめ、世代間交流やボランティア活動などの各種事業を推進してまいります。 

 

 また、本年度で終了する「第三次社会教育中期計画」に替わる新たな計画については、素案作成の段階から市民の皆さんのご意見を伺いながら策定に取り組んでまいります。

 

 家庭教育については、家庭は、子どもたちが生活に必要な習慣を身につけて調和のとれた心身を育むところであり、教育の原点であります。このため、PTA、地域、関係機関と連携を図りながら、各種情報の提供や家庭教育学級の充実に取り組んでまいります。

 

 「学校支援地域本部事業」については、西陵中学校区での事業の継続と新たな校区での事業展開を検討するほか、放課後児童の活動拠点として開設している「放課後子ども教室」の他の地区での取り組みを検討してまいります。

 また、通学合宿事業「みんなで学ぶ『子ども村』」は、児童の社会性、自主性、協調性を育む機会となりましたので、事業の実施主体である実行委員会の支援を強化し、効果的に事業が実施されるよう努めてまいります。

 

子どもの安全・安心な環境の確保については、各学校の危機管理マニュアルや通学路安全マップの見直しを図るとともに、連合町内会や地域の各種団体の協力をいただき、登下校の見守りや巡回パトロールなど安全を守るための予防活動の充実に努めてまいります。

 また、携帯電話の普及などにより様々な問題が生じておりますので、青少年補導センターや保健所、警察など関係機関との連携を密にし、指導の徹底が図られるよう努めてまいります。

 

 次に、文化・スポーツの振興については、

 引き続き、登別市文化・スポーツ振興財団や文化協会、体育協会などと連携し、地域文化の一層の発展に努めるとともに各種文化・スポーツ教室やレクレーション活動の充実を図ってまいります。

   

 市民が身近にスポーツを楽しめる生涯スポーツ社会の実現に向け、総合型地域スポーツクラブの育成支援に取り組むほか、ウォーキングの習慣化による健康づくりを推進するため、庁内組織の横断的な連携のもと、「きらり健康ふれあいウォーキング」事業に取り組んでまいります。

 

図書館については、図書資料等の整備充実を図るとともに、市民団体や図書館ボランティア等の連携による「絵本の読み聞かせ」や「ミニ展示会」などの展開を図り図書館活動の充実に努めてまいります。

 また、「国民読書年」にちなみ、読書活動の啓発と図書館に対する関心を高める活動として「ほんとの出会い、ふれ愛、語り合い」をテーマとした読書推進事業を実施してまいります。

 

 教育施設の耐震化については、鷲別中学校体育館の耐震補強工事に着手するとともに、鷲別小学校及び青葉小学校の耐震診断を実施し、安全・安心な教育環境の充実に努めてまいります。

 

 以上、平成22年度の教育行政に関する主要な方針を申し上げました。

 

 「国家百年の計は教育にあり」と申しますが、市制施行四十周年を迎える本市において、人づくりこそ真に豊かなまちを築く根幹であると思います。

 教育委員会としましては、次代を担う登別の子どもたちの豊かな成長と登別の特性を生かした潤いのある生涯学習社会の創造をめざし、市長部局と連携し、各種施策の推進に全力で取り組んでまいります。

 

 市民の皆さん、ならびに市議会議員の皆さんのご支援、ご協力をお願い申し上げます。