平成23年2月

 

登別市教育行政執行方針

  

 

                     

平成23年、第1回登別市議会定例会にあたり教育委員会所管の行政執行に関する基本方針を申し上げます。

 

現在、我が国では、少子高齢化や高度情報化、グローバル化の進展など、社会が急速に変化を遂げる中、低迷する雇用・経済情勢も加わり、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化してきております。

 

このような中、教育の分野においては、「学力や学習意欲」、「体力や運動能力」の低下、「規範意識の欠如による問題行動」の増加など、様々な課題が指摘されており、これらの課題に適切に対応していくことが求められております。

 

教育は、「人格の完成を目指し、心身ともに健康な人間の育成と同時に、社会の形成者として必要な資質を備えた人間を育成する」という使命を担うものであり、このことは、いかに時代が変わろうとも普遍的なものであります。

 

教育委員会といたしましては、「人材の育成は豊かな未来をつくり上げるための礎である」との認識に立ち、関係部局や関係団体との連携を図りながら、「社会の変化に対応していく、力の育成」や「市民一人ひとりの学びの環境づくり」など、教育行政の着実な推進を図ってまいります。

 

以下、平成23年度の重点項目について申し上げます。

 

はじめに、学校教育についてでありますが、

これからの学校においては、子どもたちが将来に夢と希望をもち、たくましく生き抜いていく基盤となる「調和のとれた人間性」を育むことが必要であります。

 

教育委員会としては、平成21年3月に策定した「学校教育基本計画」に基づき、学校、家庭、地域の連携のもと、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開し、信頼される学校づくりを推進してまいります。

 

新学習指導要領への対応については、移行期間の取り組み状況を踏まえ、指導内容の変更や授業時数の増加などの改訂事項が的確に実行されるよう各学校の取り組みを支援してまいります。  

 

学力向上対策については、引き続き、全国調査の結果を踏まえ策定した「学力向上プラン」に基づき、各学校が進める指導方法の工夫・改善の取り組みを支援するとともに、学校と家庭の連携による学習習慣や生活習慣の確立を図り、基礎・基本の着実な定着を目指してまいります。

 

また、各学校が長期休業中に補充的な学習に取り組むよう促すとともに、学校支援地域本部事業などを活用して、土曜日に学習サポートができる、体制づくりを進めてまいります。

 

教職員の指導力向上については、引き続き、教育実践奨励校を指定し、主体的な校内研究の実施を奨励するとともに、若手教員の資質向上を目指す「巡回指導教員活用事業」に取り組んでまいります。

 

開かれた学校づくりについては、教育活動の状況等、学校の様々な情報の提供に努めるとともに、学校評議員や学校評価等を積極的に活用し、学校、家庭、地域が一体となった機動的な学校運営の推進を図ってまいります。

 

また、学校一斉公開日「ふれあいDAY」を「北海道教育の日」と連動させ、教育週間として教育講演会など、教育の課題に対応した各種事業を実施してまいります。

 

さらに、学校種間の滑らかな接続により、教育効果を高める「小・中連携」については、これまで出前授業や研修活動の交流などを進めてまいりましたが、今後は、幼児期と学校教育をつなぐ「幼・小連携」についても取り組んでまいります。

 

英語(国際理解)教育については、小学校においても外国語活動が本格的に実施されることから、異文化に対する理解やコミュニケーション能力の素地を養うという視点に立ち、外国人の英語指導助手の充実を図るとともに、新たに小学校外国語活動を支援する英語補助員を配置し、低学年から英語に慣れ親しむ環境づくりを進めてまいります。

         

学校図書館については、図書ボランティアと連携し、朝読書や読み聞かせなどの読書活動を推進するとともに、多様な学習活動を促す図書資料の一層の充実に努めてまいります。

 

特別支援教育については、介助員や学習支援補助員を効果的に配置し、個別の支援計画などをもとにした適切な指導が進められるよう、学校の取り組みを支援してまいります。

 

豊かな心の育成については、ボランティア活動や自然体験、社会体験など特色ある教育活動や道徳教育の充実を図り、「生命の尊重や他人を思いやる心」、「規範意識や倫理観」などの醸成に努めてまいります。

 

健康や体力づくりについては、全国調査の結果を活用して、各学校の体力向上を目指した学習指導や体育行事、部活動の活性化を支援するほか、子ども会やスポーツ少年団などと連携し、スポーツを通した体力づくりが推進されるよう努めてまいります。

 

また、北国らしいスポーツの取り組みとして、小学校でのスキー学習モデル事業を拡充してまいります。

 

不登校・いじめなどの問題については、「スクールカウンセラー」や「心の教室相談員」を活用し教育相談活動の充実を図るとともに、「不登校・いじめ等対策会議」や各種研修会を通して、情報の交流や関係機関との連携に努めるほか、いじめ問題では、児童生徒に対するアンケートや個人面談等を活用し「未然防止」と「早期発見」を図る学校の取り組みを促してまいります。

 

学校の耐震化については、登別中学校及び青葉小学校の体育館の耐震補強工事を実施するほか、引き続き、校舎や体育館の耐震診断を推進してまいります。

 

また、耐震強度が低かった鷲別小学校校舎及び体育館については、隣接する子育て支援施設などとともに、総合的に整備を図る必要がありますので、「改築検討委員会」を設置し、具体的な構想の策定に着手してまいります。

 

次に、社会教育についてでありますが、

高齢化が進む中、市民一人ひとりが、生涯にわたって学び続け、自己の長所や適性を再発見し、生きがいを感じることができるよう、様々な学習機会や学習情報を提供していくことが重要であります。

 

「第四次社会教育中期計画」が本年3月、策定を終えますので、今後は、この計画に沿って、各種施策を推進してまいります。

 

また、学校教育を支援する「学校支援地域本部事業」や、子どもたちの居場所づくりを進める「放課後子ども教室」については、今後も地域全体の協力をいただき拡充に努めてまいります。

 

さらに、児童の自主性や協調性、基本的生活習慣を育む「通学合宿事業」については、引き続き、学生ボランティアや関係団体の協力を得て充実を図ってまいります。

 

家庭教育については、PTA、地域、関係機関と連携しながら、親同士の交流や子育てに関する学習などを通し、生活習慣や情報モラルなどの意識啓発を図り、家庭の教育力向上に努めてまいります。

 

青少年の健全育成については、インターネットや携帯電話など情報化の進展により、生徒指導上の問題が広域化していることから、「青少年問題協議会」や「生徒指導担当者連絡会議」を通し、学校や関係機関との連携を深め、事件・事故の未然防止に努めてまいります。

 

また、子どもの安全確保については、青少年指導センターや町内会、各種団体と連携し、「子ども110番の家」や「地域パトロール活動」の充実を図るとともに、各学校での「防犯教室」の実施や「危機管理マニュアル」、「安全マップ」の点検などを促してまいります。

 

文化・芸術の振興については、登別市文化・スポーツ振興財団や各種団体との連携を図り、市民の自主的な文化・芸術活動の機会と、発表の場の提供に努めてまいります。また、ふるさとの発展の証を記録に残す「市民が記憶する歴史収集事業」を、郷土史研究会の協力を得ながら取り組んでまいります。

 

スポーツの振興については、引き続き、各種スポーツ教室や健康の維持・増進を図る講習会などを開催するとともに、総合型地域スポーツクラブ「おにスポ」の育成・支援に努めるほか、体育協会や各種団体との連携を図り競技力の向上に努めるなど、生涯スポーツ社会の実現を目指してまいります。

 

学校給食については、地場産の食材や姉妹都市白石市の物産を活用した登別らしい給食の充実に努めるとともに、衛生管理の徹底を図り、安全・安心でバランスのとれた給食の提供に努めてまいります。

 

図書館については、図書資料や郷土資料の充実に努めるとともに、ボランティア団体との協働による読み聞かせ会や講演会、各種講座を開催するなど、一層の図書館活動の推進に努めてまいります。

 

また、西胆振3市(室蘭・伊達・登別)の図書館ネットワークの広域化事業に参入し、3市間での図書検索など利便性向上を図ってまいります。

 

以上、平成23年度の教育行政に関する主要な方針を申し上げました。

 

 

教育委員会といたしましては、次代を担う登別の子どもたちの豊かな成長と、市民一人ひとりが、生き生きと学び続け、豊かな人生を送ることのできる生涯学習社会の創造をめざし、市長部局と連携し、各種施策の推進に全力で取り組んでまいります。

 

市議会議員の皆さん、市民の皆さんのご支援とご協力をお願い申し上げます。