平成24年2月

 

登別市教育行政執行方針

  

 

                     

 

 平成24年第1回登別市議会定例会にあたり、教育委員会所管の行政執行に関する基本方針を申し上げます。

 

 我が国においては、グローバル化や少子高齢化の進展により、社会・経済環境が一層厳しさを増し、先行き不透明な状況になっております。

そのような中、教育においては、新しい時代を積極果敢に築き上げていく、気概をもった人材を育成することが求められており、そのためには、次代を担う子どもたち一人ひとりが、しっかりと自立し、生き生きと活躍できる力を身に付けることが、重要であります。


教育委員会では、希望と高い志を持ち、未来に向かって心豊かにたくましく生きる人間の育成を目指して、教育行政を着実に推進してまいります。

 

 以下、平成24年度の重点項目について申し上げます。

 

 はじめに、学校教育についてでありますが、

本市教育の重点目標である「子どもたちの生きる力の育成」と「地域に根ざした魅力ある学校づくり」の実現をめざして、学校・家庭・地域が連携し、それぞれがもつ機能を十分に活かしながら、調和のとれた「心豊かな人間性」をはぐくむ教育を推進してまいります。

また、昨年発生した東日本大震災は、学校の安全対策を進める上で、大きな教訓となりました。

教育委員会では、学校に対し、危機管理マニュアルや防災体制の見直しと、自然災害を想定した「避難訓練を徹底すること」や、児童生徒が自らの命を守りぬくため「主体的に行動する態度」を育成するなど、防災教育の一層の充実を促してまいります。

 また、学校施設の耐震化については、富岸小学校及び登別小学校の「耐震診断」、鷲別小学校改築の「基本設計」、幌別小学校及び西陵中学校体育館の「耐震補強工事」に取り組んでまいります。


 学力向上対策については、全国学力学習状況調査の結果を踏まえ、各学校が策定する学力向上改善プランの検証・改善サイクルが機能するよう各種資料の提供などを通して、学校の取り組みを支援してまいります。

また、平成23年度の学力調査では、当市の小学校の平均正答率が、国語、算数ともに全道平均を上回るなど、これまでの取組が着実に成果となって表れてきておりますので、引き続き、少人数指導、習熟度別指導などのきめ細かな学習指導に取り組むほか、放課後や長期休業中の補充学習の取り組みを促してまいります。


 教職員の資質向上については、本年度も、教育実践研究奨励校として六校を指定し、先進的な授業研究や研修活動を支援するとともに、その実践成果を活用するなどして、学校における職場内研修(OJT)機能が強化されるよう図ってまいります。また、道教委が計画する経験年数や職務内容に応じた研修会への積極的な参加を促すほか、引き続き、若手教員の指導力向上をめざした「巡回指導教員」の活用を図ってまいります。


 特別支援教育については、各学校のコーディネーターや教員の資質、指導力の向上を図るとともに、介助員や支援補助員の適切な配置に努めてまいります。


 次に、特色ある教育活動についてでありますが、北国らしいスポーツの体験と体力向上をめざしたスキー・スケート学習については、本年度より、全小学校で実施(青葉小学校はスケート学習)いたしますので、安全で有意義な学習となるよう支援してまいります。

また、英語教育については、これまでの実践を踏まえ、小・中学校九年間を見通した英語学習を実施するため、関係者の協力をいただき「登別市英語教育推進プログラム」を作成してまいります。

また、「幼・小・中」の連携については、子どもたちが、新しい環境に馴染めずに生じる様々な問題に対応するため、指導の連続性や望ましい学校間のあり方について検討するなど、円滑な接続が図られるよう努めてまいります。


地域に信頼される学校づくりについては、昨年は「教育ふれあいウィーク」として、学校の一斉公開や特別支援教育に関する懇談会などに取り組みましたが、さらに、テーマを広げ、その充実を図るとともに、「教育広報」を発行し、教育活動の積極的な情報発信に努めてまいります。


豊かな心の育成については、子どもの発達段階に応じ、学校の教育活動全体を通して行う道徳教育や人権教育を推進し、基本的な倫理観や規範意識、生命を大切にする心、他人を思いやる心を育成する取り組みを支援してまいります。


不登校・いじめの対応については、「不登校・いじめ等対策会議」を通して、事例研究や教育講演会を実施するとともに、道教委が主催する「どさんこ子ども地区会議」に児童生徒の代表を派遣し、いじめ根絶のための活動を推進してまいります。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、心の教室相談員を配置し、相談体制の充実を図るとともに、適応指導教室と連携した学習や体験活動の取り組みを強化してまいります。


健康や体力づくりの推進については、学校での体力向上の取組を支援するとともに、今年度から、市内中学校で必修となる、柔道の安全で円滑な実施を図るため、指導者研修や指導内容の充実に努めてまいります。また、学校や家庭と連携し、「早寝、早起き、朝ごはん運動」の啓発に努め、子どもたちの生活習慣の改善に取り組んでまいります。

さらに、食育については、食に対する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けるため、栄養教諭を中核とした指導の充実に努めるとともに、学校給食における衛生管理の徹底や地場産品の活用を推進してまいります。


 学校図書館については、図書の充実と読書環境の整備に努めるとともに、昨年度導入を図った図書管理システムの有効活用を促してまいります。

 

次に、社会教育についてでありますが、

これからの社会教育においては、市民の主体的な学びの場や機会の充実にとどまらず、一人ひとりの学習活動で得た成果を地域や学校など幅広い分野で発揮できる機会をつくり出していくことが重要になっております。そのため、自らの課題を自ら解決する地域社会の形成をめざして、「第四次社会教育中期計画」に掲げる、学習活動や世代間交流、ボランティア活動などの事業展開を図ってまいります。 

 家庭は、全ての教育の原点でありますので、家庭教育や子育て支援に関わる機関・団体と連携を図り、学習機会の充実に努めるとともに、広報紙を活用し、必要な情報の提供を行うなど、家庭教育を支える環境づくりを進めてまいります。


次に、学校・家庭・地域の連携・協働による教育の推進についてでありますが、地域全体で学校を支援する学校支援地域本部事業については、すべての中学校区で地域教育協議会の組織化が図られましたので、今後は、学校支援ボランティアの確保と支援活動の創出などの取組を支援してまいります。

また、地域の方々の参画のもと、放課後の子どもたちの活動拠点として学習やスポーツ、文化活動などを提供する「放課後子ども教室」については、より一層、活動の充実に努めてまいります。

 さらに、通学合宿については、引き続き、道教委による「学生ボランティア派遣制度」の活用や地域の協力団体との連携・協働により、子どもたちの自主性や協調性を育む機会として、充実を図ってまいります。


青少年の健全育成については、様々な体験活動を通して自己実現を図ることが大切でありますので、各地区の青少年健全育成組織や子ども会育成連絡協議会をはじめ、社会教育関係団体との連携を深め、自然体験や社会体験などの機会が充実されるよう図ってまいります。また、進展するネット環境に、適切に対応できるよう情報通信技術(ICT)を活用して、子どもたちの情報活用能力を育成し、情報モラルの向上を図る取組を推進してまいります。


文化・芸術の振興については、登別市文化・スポーツ振興財団や登別市文化協会等と連携し、市民の文化・芸術活動への参加と鑑賞機会の充実を図り、地域文化の振興とコミュニティの構築に努めてまいります。また、当市の歴史解明や文化資源としての基礎を構築するため道立文書館の協力を得て古文書講座を開催します。


 スポーツの振興については、登別市スポーツ推進委員会や登別市体育協会と連携し、各種スポーツ教室の充実とレクリエーション活動の推進に努めるとともに、総合型地域スポーツクラブ「おにスポ」を支援し、生涯スポーツの普及を図ってまいります。また、健康と体力づくりを目的とした「きらり健康ふれあいウォーキング」は、本年度、登別地区で実施することとします。


 図書館については、西胆振三市間での相互利用サービスの実施と図書の充実を図り、魅力ある図書館づくりを進めてまいります。また、図書館のバリアフリー化の一環として、地域情報センターPIP配本所の利活用を図ることとし、その施設整備のあり方について、図書館協議会に諮問してまいります。

 また、郷土資料館、ふぉれすと鉱山、カントレラ等の社会教育施設においては、ボランティア活動団体との協働により、効果的な学習活動の機会を提供してまいります。

 

以上、平成二十四年度の教育行政に関する主要な方針を申し上げました。

 

 教育委員会としましては、本市のもつ豊かな自然や生活環境、地域の歴史や文化などの教育資源を活用し、豊かな個性と人間性を育む教育行政の推進に全力で取り組んでまいります。

 市民の皆さん、ならびに市議会議員の皆さんのご支援、ご協力をお願い申し上げます。