平成25年2月

 

登別市教育行政執行方針

  

 

                     

 

 平成二十五年第一回登別市議会定例会にあたり教育委員会所管の行政執行に関する基本方針を申し上げます。

 

 今日の社会は、少子高齢化や高度情報化、グローバル化が急速に進展する中、人間関係の希薄化、国際競争の激化、溢れる情報、環境問題など様々な課題に直面しております。

こうした中、教育の分野においては、複雑、多様化する社会の変化に対応し、新しい時代を切り拓く創造性やチャレンジ精神に溢れる人材を育成することが求められております。

教育委員会といたしましては、「知識や技能を活用して課題を解決する力」や「柔軟な思考力」、「他者との関係を築く力」などを備えた「豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育成」をめざすとともに、市民だれもがふるさとに愛着をもち、主体的に学び続け、その成果を生かすことのできる生涯学習社会の実現を目指してまいります。

 

 以下、平成二十五年度の重点項目について申し上げます。

 

これからの教育を推進していくためには、学校が実施する教育課程の改善、子どもの学力・体力向上の取組、生活習慣の確立、教員の研修活動、社会教育との連携など、学校の総合的な教育力向上を図る必要があります。このため、昨年度より、幌別小学校と近隣校や協力校が協働で取り組んでいる「学校力向上総合実践事業」や「巡回指導教員活用事業」の推進を支援してまいります。

また、各学校が、新学習指導要領で求められる「知、徳、体」のバランスのとれた「生きる力」の育成を目指し、子どもたちの発達段階や特性に応じて取り組む、創意工夫を生かした「特色ある教育活動」を支援してまいります。

 

確かな学力の向上については、全国学力学習状況調査の結果から、「言語力」や「読解力」、「応用する力」の不足、「学力の二極化」などが課題となっておりますので、学校改善プランに基づき、基礎的・基本的学習内容の習得とそれらを活用した課題解決能力などの育成を促してまいります。

また、少人数指導、習熟度別学習など指導方法の工夫改善の取組や、放課後や長期休業中の補充学習の実施、チャレンジテストの有効活用、家庭学習の手引きの作成など、家庭と連携した取組を支援してまいります。

 

 特別支援教育については、家庭や地域との連携を図り、より適切な就学指導に努めるとともに、介助員の配置や支援教室の整備、トイレの改修など、学校の実態に応じた支援に努めてまいります。

 

 幼稚園・保育所と小・中学校の連携教育については、子ども一人ひとりが生活の変化に対応し、実り多い生活や学習を展開できるようにする必要があります。このため、「幼保・小・中連携協議会」を設置し、様々な情報の共有と各種事業の実施に取り組んでまいります。

特に、幼保・小連携では、小学校生活への親しみや見通しをもつことが期待できる「子ども同士の交流」、発達状況や指導状況についての理解を深める「幼保・小の教職員間の交流」などの施策を推進してまいります。また、各小学校に、新入学児童の学校生活をサポートする「生活支援員」を配置いたします。

 

 いじめ・不登校などの問題行動については、その要因、背景が多様化しておりますので、いじめ・不登校対策会議を開催するなど、学校、家庭、関係機関との一層の連携を図り、情報共有と的確な実態把握、迅速かつ適切な対策に取り組み、その解消に努めるとともに、子どもの意欲や興味・関心を引き出す「体験教室」、学習支援を行う「適応指導教室」など、学校復帰をめざした取組の充実に努めてまいります。

 

 豊かな心と健やかな体の育成については、「命を大切にする心」や「倫理観」、「規範意識」などをはぐくむ道徳教育を推進するとともに、人や自然、社会との関わりを通して、人間性を豊かにするボランティア活動や自然体験など「体験活動」の充実を図ってまいります。

また、当市の子どもたちの体力・運動能力は、「俊敏性」や「持久力」などに課題がありますので、学校における体育の時間はもとより、始業前、休み時間を利用した体力づくりを支援するとともに、道教委が進める「どさんこ元気アッププログラム」などを活用して、日常的、継続的に体力向上が図られるよう啓発してまいります。

 

小学校で取り組むスキー・スケート授業や中学校で導入された柔道の授業については、登別スキー連盟や登別柔道連盟などの協力を得て、安全に実施できるよう支援してまいります。

 

子どもたちの健康づくりについては、食に関する理解を深める「食育」や、薬物に対する知識と心身への影響について学習する「薬物乱用防止教育」など、健康教育の推進と、歯や口の健康づくりとしての「フッ化物洗口」等の拡充に努めてまいります。

 

子どもたちが共同生活の中で、基本的生活習慣や学習習慣の定着を図る通学合宿「のぼりべつ・子ども村」を、引き続き、実施してまいります。

読書活動は、子どもたちの言語能力の向上や物事に対する興味・関心を高め、表現力や想像力をより豊かなものにする上で極めて重要であります。このため、子どもたちが多様な読書活動や、主体的、意欲的な学習活動に取り組めるよう学校図書館の一層の活用を促すとともに、新たに専任司書を配置し、その機能を発揮できる環境づくりに努めてまいります。

 

次に、安全・安心な教育環境整備についてでありますが、

近年、地震や津波などの自然災害や痛ましい事件、事故が発生しており、学校安全と危機管理の取組を充実していくことが求められております。

市教委では、学校に対し、様々な災害や危険に対応できる危機管理マニュアルの更新を求めるとともに、家庭や地域と一体となった防災教室や避難訓練等を実施して、子どもたちの危機回避能力を高める防災教育の充実を促してまいります。

 

 通学路の安全確保については、昨年、市教委が中心となり、警察、道路管理者、学校などの関係機関と合同で「通学路における緊急点検」を実施し、危険箇所の状況把握と具体的な対応策を検討しましたので、今後は、交通安全施設の整備等に取り組んでまいります。

また、緊急避難所となる「子ども一一〇番の家」の拡充、防犯ステッカーの活用、青少年センターによる巡回、地域と連携した登下校の見守りなど、防犯対策の充実に努めてまいります。

 

情報機器の急速な進展により、不適切な掲示板への書き込みや有害サイトへの接続などの問題が生じておりますので、情報教育推進協議会と連携し「情報安全教室」の開催など、利用上のモラルやマナーを高める取組を進めてまいります。

また、いち早く災害や不審者などの情報を提供する「西いぶり生活情報メール配信サービス」については、学校、家庭に対する啓発活動を推進し、登録者の増加に努めてまいります。

 

 学校施設の耐震化については、富岸小学校体育館及び登別小学校体育館の耐震補強工事と登別小学校及び登別中学校校舎の耐震診断を実施します。鷲別小学校については、実施設計に取り組み、建設工事に向けた準備を進めてまいります。

 

次に、家庭・地域と連携する教育についてでありますが、

子どもたちの健やかな成長をはぐくむためには、家庭と地域の教育力を高め、その機能を十分に発揮できる支援体制を構築することが重要であります。当市においては、これまで、学校支援地域本部事業、放課後子ども教室の設置、青少年健全育成活動など、地域の皆さんがボランティアとしてかかわり、早くから地域と連携した学校づくりを進めてまいりました。

さらに、地域の皆さんが学校運営に参画して協働で児童生徒を育てる「学校運営協議会制度=コミュニティスクール」の導入に取り組んでまいります。

 

 次に、社会教育についてでありますが、高齢化の進行や人口減少に伴い、社会生活を維持する上で様々な問題が生じており、「新しい公共」の考えのもと、公共的役割を担うNPOなどの団体やそれを支える人材を育成することが求められております。そのため、人づくりを柱とした「第四次社会教育中期計画」に沿った各種事業の推進を図ってまいります。

 

 家庭教育については、家庭教育力の低下や育児不安に陥る母親の増加等の課題が生じてきております。そのため、幼稚園や小学校の保護者を対象とする「家庭教育学級」の開設や各種社会教育施設で実施する「親子体験教室」の充実、さらには、国の「家族の時間づくりプロジェクト」に協賛した地域ぐるみで家族団らんの時間を創出する環境づくりに取り組み、家庭教育力の向上を図ってまいります。

 

 芸術・文化・スポーツ活動の振興については、引き続き、芸術・文化に接する機会の充実や市民の個性ある活動への支援、また、身近なスポーツに接することができる生涯スポーツの推進に努めてまいります。

なお、活動の指針となる「文化振興基本計画」と「スポーツ振興基本計画」は、平成二十六年度で終了しますので、これまでの成果を生かしながら、時代の変化に対応した新たな計画の策定に着手いたします。

 

 図書館については、生涯学習の拠点として、市民の主体的な学びや読書意欲を高めるための図書資料の収集・提供や図書情報システムの改善などサービスの充実に努めてまいります。

また、「第二次登別市子ども読書活動推進計画」に沿って、学校、家庭、地域のボランティアと連携し、図書コーナーの充実、おはなし会や各種講座の開催など子どもの読書活動が一層推進されるよう図ってまいります。

 

 学校給食については、地場産の食材を使用した献立の工夫に努めるとともに、衛生管理の徹底を図り、安全・安心な給食を提供してまいります。また、耐震診断を実施し、今後の給食センターのあり方について検討してまいります。

以上、平成二十五年度の教育行政に関する主要な方針を申し上げました。

 

 国においては、教育再生に向けた論議が進められており、今後、一層教育改革の進展が予想されます。

教育委員会では、このような動向を踏まえて、「教育は未来を担う人材を育成する基盤である」との認識に立ち、市長部局との連携を深め、活力ある教育の推進に努めてまいります。

 

 市民の皆さん、ならびに市議会議員の皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げます。