戦争による悲劇を繰り返さないために




       鷲別中学校

       2年  川名 剛志

 

 最近、新聞やテレビで、悲しい報道を私はよく見かけます。皆さんも目にしたことがあると思います。その場所はイラクです。アメリカによる、イラク戦争の後も、イスラム教の各宗派による対立が深まり、過激派によるテロで毎日、大勢の人々が命を落としています。その中には、私達と同じような年齢の子供も犠牲になっています。アメリカがイラクに対し、宣戦布告した理由の一つは、イラクの大量破壊兵器の保有と、それをテロ組織にわたしてしまう可能性があるということでした。しかし、核兵器はおろか、生物兵器すら見つからないという結果でした。このような強硬手段が国際社会の場において通用してよいのでしょうか。なぜ、アメリカは、このような思い込みで、イラクに侵攻したのでしょうか。この戦争に対するアメリカの思惑は数々あると思います。例えば、その一つが石油利権です。今、石油は大変貴重な資源の一つです。そして、イラクが位置する中東は世界的な石油の産地です。つまり、アメリカが石油資源を独占しようとしていると考えることもできます。または、宗教的な対立も原因の一つであると思います。イラクは、イスラム教徒が多い国家であり、アメリカは主にキリスト教の国です。イスラム教とキリスト教は古くは十字軍の時代から遠々と対立しており、それが今回の戦争の遠因になっているとも考えることができます。
 さて、このような事態に対し、私達の住む日本は、どのような対応をとったでしょうか。あろうことに、総理大臣自ら、アメリカを支持すると表明しました。さらに、保守的な考えを持っている人々すら、アメリカを支持しているようです。なぜ、彼らは、イラクに侵攻したアメリカを支持するのでしょうか。その理由は、日本の隣国がもっている、核兵器の脅威だと思います。テレビの報道などでは、北朝鮮は、テポドンやノドンといった、ミサイルを三十基以上も日本にむけており、中国も核ミサイルを五十基以上も日本にむけているという話もあります。つまり、日本を守ってくれる代償にアメリカを支持すると言っているのです。アメリカを支持している人々は、自分の国を守るために、イラクの子供達を犠牲にしているのです。これが一国の総理大臣や、保守的な考えを持っている人々の言うことでしょうか。自分達の身を守るだけでよいのでしょうか。
 私は、この戦争には、反対です。アメリカの核の力で守ってもらうために、アメリカの言いなりになる人々が日本に存在することが悲しくてしかたありません。そこまで核兵器が怖いのならば、相手のミサイル基地を叩くことのできる攻撃力を持てば良いという考え方もあります。世界の中でも、日本は六十二年前に二発の核爆弾と無数の空襲で、国土は焼け野原になりました。しかし、そこから奇跡的な速さで復興し、今日では世界有数の経済大国となりました。このような復興が達成できたのも、日本人が勤勉で一生懸命、日本のために働き、その間、平和を愛し他の国と戦争をしなかったからだと思います。しかしそのような苦労の上に成り立った生活を守る方法としてひたすらアメリカの傘の下に入る方法を人々が日本の中心に存在している社会を私は疑わざるを得ません。自分の国は自分達で守る。これが、独立した国家としてあるべき姿ではないでしょうか。
 さて、皆さんはイラク戦争で日本のとった態度をどのように考えますか。日本人には、アメリカ、日本両政府を支持している人もいますが、それで良いのでしょうか。この間にも、イラクの子供達の命は確実に奪われています。地球上から戦争を無くすのは不可能なのでしょうか。現在のように力で相手を屈服させる方法では、恨みを残すだけで、同じことを繰り返すだけです。今こそ、私達は、力による解決ではなく、それぞれの国民が知恵を絞って考えなければ、同じ悲劇が繰り返されることでしょう。私達が大人になる時代までには、戦争の無い社会が実現できるように今、私達も知恵を出し合っていかなければ、ならないと思います。