学校給食の概要

 学校給食の起源は、明治22年(1889年)山形県鶴岡町の小学校で貧困家庭の児童を対象に無料で昼食を提供したことにあるとされています。

 それ以後、全国に広まり、昭和29年(1954年)6月に「学校給食法」が制定され正式に制度が始まりました。

 その後、児童生徒の食生活をとりまく社会環境は大きく変化し、現在ではカルシウムの不足、脂肪の過剰摂取など偏った栄養摂取、肥満等の生活習慣病の増加など、食に起因する新たな健康課題が増えてきています。
 学校給食は、生涯にわたって健康で充実した生活を送るための基礎を培う健康教育の一環として、その指導の重要性が一層高まってきています。

1.学校給食の重要性と課題

 学校給食のねらいは、毎日を健康でいきいきと生活できるようにするために、食事、運動、休養の調和のとれた生活習慣を身につける必要があることを伝えることにあります。
 特に、心身ともに成長発達の途上にある児童生徒にとって、栄養バランスのとれた食事を一日3回きちんと摂り、合理的に栄養を摂取することは健康な生活を送る上で基本となるものです。また、家族や友人と和やかに食事をすることは、豊かな心や望ましい人間関係を育成する上からも、大切な役割を果たすものであります。

   < 参考 >

   学校給食法 第2条
  1.日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。
  2.学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。
  3.食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。
  4.食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。
  5
食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
  6.我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
  7.食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。


 しかし、今日、国民の生活水準が向上し、食生活が一般的に豊かになったといわれていますが、一方では不規則な食事が見られたり、偏った食事内容からくる栄養のアンバランスや運動不足などによる肥満、貧血、疲れ、集中力の欠如などの問題が指摘されています。
 さらに、社会の変化に伴い家庭のあり方が変容し、家族だんらんも少なくなり、一人で食べたり子どもだけで食事をする習慣や、また、朝食抜きで登校する子どもについての心身への影響についても見過ごすことのできない問題となっています。
 これらの食事環境におかれている児童生徒に対し、心身の成長期においてはもとより、生涯を通じて健康に過ごすための食生活について理解を深めさせていくことは、今日における学校給食の重要な役割と課題であるといえます。


2.学校給食の役割

(1)栄養バランスのとれた豊かな学校給食

 学校給食は、栄養バランスがとれた食事できるように工夫されており、成長期にある児童生徒の健康の保持増進と体位の向上に大きな大きな役割を果たしています。
 学校給食の献立は、おいしく食べられるようにするとともに、多様な食品の組み合わせや栄養バランスがとれるように工夫しなければなりません。

(2)望ましい食習慣を形成する学校給食

 児童生徒が学校給食を食べる時期は、身体的にも精神的にも急速に成長する時期であり、バランスのとれた正しい食生活をすることが日々の健康な生活の基礎となります。
 特に、脂肪、糖分、塩分の過剰摂取に注意する習慣を身につけることにより、将来おこりうるさまざまな疾病を予防することができます。

(3)人間関係を豊かにする学校給食

 昼の給食の時間は、児童生徒にとって学校生活の中で一日の節目となる時間であり、午前中の学習をはじめさまざまな緊張から解放され、気分転換を図ったり、午後に向けて活力を生み出すことのできる時間でもあります。
 また、「食べる」という人間にとって基本的な欲求を満たす時間でもあり、みんなで一緒に楽しく「食べる」体験を通じて望ましい食習慣を身につけ、好ましい人間関係を育てる場となっています。


3.給食指導

(1)給食指導のねらいと内容

  @楽しく(正しく)会食すること。
   ア 食事のマナーを身につけ、気持ちよく食事をすること。
     ○食器や箸の持ち方、置き方、食事中の姿勢などの基本的なマナーの習得を目指します。
   イ さまざまな人々との会食を通じて人間関係を深める。
     ○児童生徒相互、児童生徒と教職員、親子、地域の人々などとの楽しい会食を通じて、相手を思いやるなど豊かな人間関係を育てることができるようにします。

  A健康によい食事の取り方
   ア 食品の種類や働きがわかり、栄養バランスが取れた食事の仕方が分かるようにします。
   イ 日常の食事の大切さがわかり、健康によい食事の仕方を身につけられるようにしまうす。

  B食事と安全・衛生
   ア 安全衛生に留意して食事をとり食事の準備や後片付けができるようにします。
   イ 協力して運搬や配ぜんができるようにします。

  C食事と文化
   ア 日本人の伝統的な食生活の根幹である米飯を中心とする和食に関心を持ち、地域で培われた食文化を体験し郷土への関心をふかめようにします。
   イ 食料の生産、流通、消費について理解できるようにします。

  D勤労と感謝
   ア 自然の恵みと勤労の大切さを知り、感謝の気持ちをもって食事をします。
   イ みんなが協力して自主的に責任を持ち、活動できるようにします。

(2)給食センターの役割

 給食センターは、学校給食の特質を踏まえ、各学校と充分な共通理解のもと、献立と料理づくりに努めています。
 そのためには学校栄養教諭と連携し、各学校と意見交換を積極的に行い連携を深めることが大切になってきます。
 また、日ごろの給食指導や関連する教科の指導に必要なより良い資料の提供などの協力や、作る側の様子や献立について児童生徒に伝えたり、児童生徒の嗜好や食べ残しなどを把握することや、児童生徒から率直な意見・要望等を聞き、安全でおいしい学校給食の提供に努めます。


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