第四章 舟の話
一 舟の種類
當地方に使用されてゐる舟の種類は
イ 磯船
ロ ドカイ
ハ ホッチ
ニ サンバ
ホ カヨイセン
ヘ カワサキ
ト カガテント
チ 發動機船
等であるが、磯船はこの中の八割をしめてゐる。
秋から冬を通して翌春まで、當地漁師の大部分が従事してゐるホッキ●、蟹網、
等には殆んど磯船が使用されてゐるので、こゝでも磯船に就いてのみ説明する。
他の舟のうち、發動機船、カワサキ、カガテント、カヨイセン、等は五六人から十人位
まで乗組んで、沖合漁漁業に従事する。ホッチ、ドカイ、サンバ、等は主として、鰮建網
に用ゐられるものである。
これ等に就ては、續巻の「鰮建網」及び「沖合漁業」等の項で、それぞれ説明する豫定である。
ある時に限り、艫で使つてゐる櫂を艫櫂と呼ぶ。脇櫂は艫櫂より小さい。
の「クカマ穴」へはめ込んで、ボートのオールの如く漕ぐのである。
したものである。これはゴロが砂へ埋まらない様にする役目を有つてゐる。
榛、シコロ、柳、ガンビ、等が多く使はれてゐる。
※10 シリカップ・キテ(shirikap-kite)。柁木を獲るに用ゐる銛(kite)である。穂尖(nochihi)には
金属を用ゐ、胴體(ponehe)には鹿角を用ゐる。下端中央部に穴(kite shuye)があり、それへラシュパ(rashupa)と稱するものを刺し
嵌め、ラシュパの下部を予閉ぢ絲(op-:eshke-ka)によつてホコ(op)の上端に繼ぎ合はす。ラシュパは一尺五寸五寸位の
もので、サビタの木(rashnpa-ni)で製する。ホコは二間位で、樫の木で製する。キテには別に小穴があつて、そこから
麻などで製した細い絲を通し、それへ蕁蔴製の縄(haitushi)を結んで約三十間位のばし、更に
それへ科皮製の縄(nipesh tnshi)を結んで約二百間位のばして舟中に繋いで置く。
2 カシラ
ホッキが多いとか、何處の山が頭を出した所はいつも大漁だとか、各自が銘々に覚えて
ゐるので、前やま(まいやま)≪近くに見える山や岬≫と後山(あとやま)≪遠方の山や岬≫
とをうまく合はせて、その日の仕事場を定める。)